企業経営 H23 第03問
【問題】平成23 年第3 問
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企業の強みと弱みに関する分析フレームワークについての記述として、最も不適
切なものはどれか。
ア 経営資源の模倣には直接的な複製だけではなく、競争優位にある企業が保有する経営資源を別の経営資源で代替することによる模倣もある。
イ 経営資源やケイパビリティが競争優位を生じさせており、企業の内部者にとって競争優位の源泉との関係が理解できない場合、経路依存性による模倣困難が生じている。
ウ 経営資源やケイパビリティに経済価値があり、他の競合企業や潜在的な競合企業が保持していないものである場合、希少性に基づく競争優位の源泉となりうる。
エ 経済価値のない経営資源やケイパビリティしか保持していない企業は、経済価値を有するものを新たに獲得するか、これまで有してきた強みをまったく新しい方法で活用し直すかの選択を迫られる。
オ 成功している企業の経営資源を競合企業が模倣する場合にコスト上の不利を被るのであれば、少なくともある一定期間の持続的な競争優位が得られる。
【解説】---------------------------------------------------------
正解:イ
企業の強みと弱みに関する分析フレームワークの問題です。
本問では、主に経営資源と競争優位についての内容が問われています。一見すると、全ての選択肢が適切に見えるかもしれませんが、良く読むと不適切な記述が見つかります。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、経営資源の模倣に関する内容です。「競争優位にある企業が保有する経営資源を別の経営資源で代替することによる模倣」があるかがポイントです。こういった場合は、具体例で考えます。
例えば「中国の労働力」という経営資源を考えます。競争優位にある企業が、中国で安価な労働力を生かして低コスト生産をしています。その場合、別の企業が、タイなどの別の国の安価な労働力で代替することによって、模倣することができるかもしれません。よって、記述は適切です。
選択肢イは、経路依存性による模倣困難に関する内容です。
経験の積み重ねがないと蓄積できない経営資源は「経路依存性」があるといいます。例えば、企業独自のノウハウやブランドのように、過去の経験の上に時間をかけて積み重ねられた経営資源は、模倣することが難しいため、持続的な競争優位につながります。
また、「ケイパビリティ」は、「企業が持つ組織的能力」を表します。例えば、「製品開発のスピードの速さ」や「高品質」など、組織全体として優れている能力がケイパビリティです。経営資源だけでなく、ケイパビリティも競争優位の源泉になります。
これを踏まえて、選択肢を見ると、一見正しそうですが、「企業の内部者にとって競争優位の源泉との関係が理解できない場合」という部分が間違いです。正しくは「企業の外部者にとって~」となります。そのため、これが正解です。
選択肢ウは、希少性に基づく競争優位に関する内容です。
経営資源やケイパビリティに経済価値があり、他の競合企業や潜在的な競合企業が保有していないものである場合、希少性に基づく競争優位の源泉となりえます。そのため、記述は適切です。
選択肢エは、経済価値のない経営資源やケイパビリティに関する内容です。
経済価値がないという状況は、利益につながらず、競争優位性につながらないという事です。そのため、記述は適切です。
選択肢オは、競合企業が模倣する際にコスト上の不利を被る場合の記述です。
この場合は、模倣した企業がコスト上不利になるということですので、この不利を解消するまでは競争優位が得られます。そのため、記述は適切です。
経営資源に関する問題ついては、具体例で考えると分かりやすくなります。具体例が思いうかぶように練習しておきましょう。
◆補足
競争優位をもたらす経営資源バーニーは、「VRIO 分析」というフレームワークを提唱し、持続的な競争優位を築くための経営資源の要件を整理しました。
●Value(経済的価値)
その経営資源が経済的価値を生み出すか?
●Rareness(希少性)
その経営資源は希少性があるか?
●Imitability(模倣困難性)
その経営資源は真似されにくいか?
●Organization(組織能力)
その経営資源を生かすための組織・体制があるか?
この4 つの要件を満たした経営資源を持つことは、持続的な競争優位につながります。