法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

財務会計 H18 第03問 

平成18 年第3 問】-------------------------------------

 商品販売における収益の認識基準について、次のA群、B群およびC群の組み合わせのうち、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

<A群>
1 委託販売  2 割賦販売
3 試用販売  4 予約販売

<B群>
a 現金主義  b 実現主義
c 発生主義

<C群>
i 受託者への商品等の発送  ii 得意先への商品等の引渡し

[解答群]

ア 1とaとi
イ 2とbとii
ウ 3とaとii 
エ 4とcとii

【解答】-------------------------------------------------

正解:イ



 収益の認識基準に関する問題です。

 収益の認識基準を学習していれば、すぐに正解できます。

 収益と費用の認識基準の考え方には、現金主義、発生主義、実現主義の3 つの考え方があります。

 このうち、費用は発生主義、収益は実現主義で計上します。

 発生主義は、現金の受払いとは関係なく、費用の発生が確定した時点で計上する考え方です。

 実現主義は、商品やサービスを販売し、債権の回収が確定した時点で計上する考え方です。

 つまり、販売の対価として現金や売掛金・受取手形を受け取った時点で収益と認識します。掛けで販売した場合は、現金を回収する前に収益を計上する点に注意してください。

 ここまでをしっかり学習していれば、選択肢から正解を選ぶのは簡単です。

 A群を見るとすべて販売=収益の認識基準になっています。よって、B群ではbの「実現主義」のみが適切となります。この時点で、解答群の「イ」が正解であることがわかります。

 これで、解答としては問題ないですが、知識を補充する意味で、選択肢について少し補足しておきましょう。

 まずA群のような販売形態は、特殊販売と呼ばれています。特殊販売でも、基本的には収益の認識基準は、実現主義です。

 委託販売は、商品を他人に委託して販売してもらうことです。通常は、自社の商品を、販売者に預けて、販売者が代わりに顧客に販売します。メーカーと小売店による通常の販売形態と比べると、委託販売では、小売店が在庫を買い取らないのが違いとなります。つまり、小売店では、仕入ではなく、商品を預かって販売します。委託販売では、原則としては、販売者が販売した時点で収益を計上します。これを「委託品販売基準」と呼びます。

 なお例外として、仕切精算書の到来した時点で収益を認識する「仕切精算書到達日基準」が認められることもあります。

 割賦販売は、先に商品を引き渡し、後でクレジットカードなどで分割払いをする方法です。割賦販売では、原則は、商品を引き渡した時点で、債権が発生するためこの時点で収益を計上する引渡基準になります。ただし、割賦販売の場合、代金の回収が長期間になり、回収ができない危険性もあります。よって、例外として代金を回収した時点で収益を計上する「回収基準」が認められています。この場合は、例外的に現金主義になります。

 試用販売は、先に試用品を顧客に発送し、商品を試してもらった上で、購入するかどうかを顧客が決定する方法です。この場合、顧客が試用した後で買取の意思を示した時点で、収益を計上する買取意思表示基準になります。

 予約販売は、雑誌の年間購読のように、先に年間購読料のような予約金を受け取り、その後商品を送付する方法です。この場合、引き渡した商品の分だけを都度収益とする引渡基準になります。

 収益と費用の認識基準の原則をしっかり確認しておきましょう。