中小企業診断士とは
中小企業診断士とは、中小企業支援法に定められ、社団法人中小企業診断協会によって実施される
試験に合格し、経済産業大臣によって登録された中小企業の経営課題に対応するための
診断・助言を行う専門家を言います。
(中小企業支援法第第11条、12条の「中小企業の経営診断の業務に従事する者の登録」)
経営コンサルティングが主な業務で、経営コンサルティングの専門家としては唯一の国家資格です。
中小企業診断士は国家資格ではありますが、他の資格と違って法律によって定められた
業務独占がありません。
コンサルティングは中小企業診断士の資格がなくてもその業務は行えます。
ですが、名称独占資格であり、中小企業診断士でないと中小企業診断士と名乗ることはできません。
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づいて経済産業大臣が登録する資格ということで、
中小企業支援法では、次のように位置づけられています。
- 中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者
(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント) - 業務は「経営の診断及び経営に関する助言」
- 中小企業診断士試験は、法律上の国家資格
経営コンサルティング資格は、中小企業診断士以外にも民間の資格でいくつかありますが、
国家資格として法律に定められた経営コンサルティング資格は中小企業診断士しかありません。
ですので、独占業務はなくともこの資格を取得していると社会的な信用度が他の資格と比較して
格段に違うことでしょう。
実際にこの資格を持っていると、経営の専門家として信頼され、評価が高いようです。
中小企業診断士試験で問われる内容はMBAで身に付く知識と類似しているといわれています。
MBAの評価はどこの大学院を出たかということが大きく、
海外の大学院でのMBAの方が評価が高くなっています。
海外のMBAに留学するとなると、かなりのコストがかかりますが、
中小企業診断士はMBAと比較すると安価に住むでしょう。
コンサルティングとは、専門知識、経験を用いて客観的に問題を認識、分析、指摘、解決をすることですが、
問診や血液検査などをして患者の問題点を見つけ治療する医師と共通する部分があります。
中小企業診断士は、経営コンサルタントであり、企業を取り巻く経営環境などをあらゆる角度から情報収集して改善策を提案することで企業経営を「健康」にする”ドクター”としての思考とスキルが必要です。
中小企業診断士のように○○士、例えば弁護士や税理士、司法書士などの「士」が付く資格取得者は、
独立開業している割合が多いですが、中小企業診断士は独立者の割合が低い現状があります。
7割以上が企業で働く「企業内診断士」として活躍してます。
中小企業診断士は独占業務がない資格です。
経営に関わるほかの資格は独占業務がありますが、ここは大きな違いです。
独占業務がある資格はすでに用意されている仕事をきちんとこなすことが主な職務でありますが、
中小企業診断士は用意されている業務がないので、経営知識を体系的に学ぶことで、
「何もないところから儲かる仕組みを作り出す」「問題が起きてることを解決する」ということが主な職務です。
他の資格が経営者の知恵袋としてサポートする資格としたら、
中小企業診断士は経営者として経営者の感覚で活躍する資格でしょう。
「中小企業」診断士となっているので、中小企業にしか通用しない、
大企業ではあまり役に立たないと思われがちですが、
実際この資格を取得している方々は大企業で働く方が多く、
経営全般の知識、事例に対する改善策、ケーススタディなどの試験の内容からして、
独立開業を目指すと言うよりはスキルアップのため、
経営者の視点を養成する目的で取得されているようです。
中小企業に限らず、大企業でも体系的な経営知識、事例、思考を養成することは、
経営幹部の候補生として求められることでしょう。
経営は常に変化し、状況に応じて、法務に関しては弁護士や司法書士、情報システムに関しては情報処理技術者など、 他の資格取得者への橋渡しをするといった状況が発生します。
中小企業診断士試験の科目には、法務や情報システム、経済や財務会計など経営に関する問題が幅広く出題されます。
科目の設置目的からわかるように、中小企業診断士の役割として、まずどこが問題なのかを初期診断で察知し、 こういう問題ならこの専門家へ、と橋渡しをスムーズにし、問題解決を図る役割があります。