法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

3CとKSF

■ビジネスを取り巻く3要素■
3C分析とはマーケティングの基本的で有名なフレームワークなので、よく知られていて使われる機会の多いものだと思う。実際、ある市場を定性的に分析する際に、非常に有効なフレームワークであることは確かである。ただし、この3C分析は間違って運用されている例を良く見かけるため、一つずつ再確認しながらご説明したい。
まず、3C分析と呼ぶくらいなので、3つの「C」がキーワードになるのだが、その3つの「C」とは、次の3つの要素の頭文字を取ったものである。すなわち、
・Customer:顧客/市場
・Competitor:競合
・Company:自社
の3つである。これらの3つの要素を軸に、定性的に要素を抜き出し、それぞれの関連性を確認しながら次なるアクションに繋げていくことが分析の大きな考え方である。


■分析の手順と客観性■
では、どのように運用するのか手順を具体的に説明したい。3C分析は、下記の順番にて行うのがベストだ。

1.CustomerとCompetitorとの状況を“自社の状況を考えない”で分析をする。つまり、あるがままの市場を冷静に分析する。

2.その分析の中で、当該市場で勝ち残っていくための要素:KSF(Key Succsess Factor)を見つけ出す。

3.その後、立ち返って自社の状況を分析した後で、KSFと自社とのGAPを炙り出す。

4.このGAPを埋めるべくアクションプランを立案する。

以上が大雑把な3C分析の手順ではある。
特に重要なのは、1.の手順の中の「自社の状況を考えない」ということである。なぜならば、ビジネスは常に競合との戦いであり、競合と自社との違いがビジネスの源泉となる。だとすると、企業を常に自社と競合との差を相対的に見ていることになる。実は、3C分析は冷静に市場の状況を理解/整理することがベースになったフレームワークなので、自社の置かれている状況を鑑みた分析が1.のステップに入り込んでしまうと分析自体にバイアスがかかる可能性がある。つまり、市場を素直に見ることができなくなる危険性があるということだ。だから、1.のステップではできるだけ自社の状況は考えず、客観的に分析することが大切だ。

■KSFと自社とのGAP■
手順2.で登場するKSFとは、「その市場(事業)において成功するための大切な要素」のことである。お気付きだと思うが、このKSFの分析には自社の事情は含まれないということが肝要だ。まず第一段階としてこのKSFを出すことに注力すべきだ。なぜならば、このKSFこそ、その市場で勝つための要素だからである。これを読み違えると、アクション自体がミスリードされることになる。
さて、KSFを出した後、初めて自社(Company)の分析、3.のステップに入る。そうすると、自社のポイントとKSFとの乖離(GAP)を見つけることができるはずだ。このステップは最後のステップ 4.に繋がる。つまり、GAPが明確に炙り出されたのなら、あとはこのGAPを埋めるべくアクションプランを立案するだけである。
以上が3C分析の説明となるのだが、いづれにしても、定性分析の客観性を保持できるかが精度の高い分析結果を導き出すためのコツであることは忘れてはならない。