法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

第2回 バリューチェーンとは(ユニクロの例)

企業が経済活動を行い存続していくためには、「強み」が必要になるでしょう。巷では、強みのことをコア・コンピタンスと言い、「組織内における集団的学習であり、特に種々の生産技術を調整する方法、そして複数の技術的な流れを統合するもの」と定義されています。コア・コンピタンスというと、どうも横文字に弱い人がいて、お客様と話す時にはできる限り「強み」と言うようにしています。お客様に「貴社の強みは何ですか?」と尋ねると、意外なほど、「うちに強みなんてあるのかねぇ?」、「強みなんて何もないだろうなぁ。」等という返答が多かったりします。

 
「強みがなくて、どうして企業が存続できるのでしょうか?」、「どうして、自社製品が売れるのでしょうか?」などと尋ねていくと、「それは、あの客に訪問しているのはうちだけでしょう。」などと回答があったりします。そこで、「貴社の強みは、地域性を活かした営業力にあるのでは?」と言うと納得されたような顔をします。


強みは、必ずしも「ものづくり」にあるとは限りません。特許を持っている、専売権をもっているだけとも限らないのです。企業の基本的なバリューチェーンで言うと、調達/開発/製造/販売/サービスがあり、このどのフェーズのどこかに自社だけの強みがある、だから企業が存在しているはずです。もちろん、地域別、製品別等でターゲットを細かく割らないと自社が1番強いと言えないかもしれませんが。
 

さて、アパレル製造・小売を例に強みとビジネスモデルの変化を考えてみましょう。かのユニクロは、SPAと呼ばれ製造業と小売業の両方の機能を持っていました。バリューチェーンで言うと、製造・販売が一体化されていたことにより、他社よりも客先ニーズにあった商品を販売できました。しかし、ユニクロは製造を中国で行っていたために、リードタイムが長いという欠点があったのです。
 

他のアパレルは、ユニクロのビジネスモデルを勉強し製造・小売の両方を持つような企業が現れました。さらに日本国内で設計・生産するという改良を加えることにより、ユニクロよりも短いリードタイムでマーケットに新商品を投入することができるようになりました。バリューチェーンで言うと、開発・製造が短期間できたのです。これが強みとなりました。しかし、ユニクロの物まね商品では長続きしません。
 

今、元気なアパレルは、おじいさん・おばあちゃんの財布をあてにした子供向け市場、CanCamと連携した市場、「萌え」効果をねらったマニア向け市場でしょうか? これらは、販売部門のマーケティング力に強みがあり、特定市場に集中化したために成功したと思われます。
 

自社の強みはどこにありますか? 人によってはどこでもいいからと言う人もいるのですが、できれば、調達/開発/製造/販売/サービスのどこかのフェーズで強みを持っているかを探すべきだと思います。自分の強みを認識しないと、経営戦略を立案できなくなります。