法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

契約書を作成する利点

契約書を作成する利点


一言で、契約書を作成する利点をいうと「契約事項の明確化により後日の紛争を防止できる」ということです。


契約内容について問題が生じた場合、契約書の条項が有力な証拠となります。例えば、売買契約において代金の額、支払い時期、商品の所有権移転時期、契約の解除事由などは、これらの契約事項を定めることにより、その内容が明確となり、後日紛争が生じることを防ぐことができます。


また、最近では、大企業といわれる会社の多くが、内部統制やコンプライアンスの観点から、従来は口頭で発注していたものを、書面(契約書)での確認という方向になってきました。


契約書作成はなんとなく面倒と思わずに、積極的に契約書作成してみましょう。


〜正しい契約書は自分の身を守ってくれます。〜




契約書のFAQ

契約書作成におけるよくある質問をまとめました。


Q.契約書の「原本」、「正本」、「謄本」、「副本」の意味と違いは?

A.契約書の後文に、「上記契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、各自署名押印のうえ、各1通を保有する。」という文言が置かれるのが通例です。一般に、契約当事者の数だけ契約書を作成し、各当事者が1通づつ契約書を所持します。
このように当事者の数だけ契約書を作成するのは、当事者が契約書を改ざんするのを防止し、また、その紛失の危険性を防いだり、さらに一方当事者に債務不履行があった場合に、他方当事者が訴訟提起等の法的手段をとるための契約の成立・内容の立証に役立つからです。
一般に「原本」とは、当事者各自が契約書に署名捺印したオリジナルのものをいい、「謄本」はそのコピーを、「正本」は、謄本のうち原本と同じ効力が認められたものをいいます。
 ただ、通常、契約書を複数作成した場合、1通を「正本」といい、残りを「副本」という場合がありますが、これらはいずれも当事者各自が署名押印しているわけですから、上記の「原本」に当たり法的効力に差はないことになります。



Q.印の種類と契約書の押印の種類は?

A.一般的に法人には、(1)代表者印(社長印)、(2)会社印、(3)銀行印があります。代表者印は、通常本店所在地の法務局(支局又は出張所)に登録されている印のことをいいます。契約書の押印の種類ですが、会社印及び銀行印と比較して、「代表者印の印鑑証明+代表者印の押印」がもっとも証明力が高いといえます。



Q.契約書の押印の種類
契約書作成の際に押印することになりますが、押印には以下のように多くの種類があります。

(1)署名又は、記名と共にする押印
契約当事者が契約書末尾の当事者各自の署名又は記名の次にする押印であり、これにより契約書の取り交わしが終了します。この押印は契約当事者が本人に間違いないことを特定する意味があります。

(2)契印
契印は、契約書が複数枚にわたる場合に、そのとじ目に押される印のことで、契約当事者全員が押印するのが通例です。契印は、冊子状契約書の一部の差し替えを防止するためのものです。
 契印の方法には、いわゆる「袋とじ」と「ホチッキス止め」とがあります。
「袋とじ」は製本テープで貼り付けて行う方法で製本テープの境目に契印すればよいです(表紙・裏表示ともに契印すべき)。これに対し、ホッチキス止めには、単にホチッキスで止める方法で、各頁のつなぎ目に契印をします。

(3)割り印
割り印とは、複数の独立した文章(契約書)について、これらの文章が同一であることや関連性があることを証明するために、2つの文章にまたいで押す印のことをいいます。

(4)捨て印
捨印とは、契約作成後における加筆や訂正に備えてあらかじめ契約書の上欄余白部分に、契約当事者全員が押す印のことをいいます。
 捨印は、後日契約書を容易に改善される危険性があるので、相手方に求められても、なるべくこれを拒否すべきです。

(5)消印
消印とは、契約書に貼り付けた収入印紙と契約書面にまたいで押す印のことをいいます。

(6)訂正印
訂正印とは、契約書の文字を訂正する際に、その訂正内容を証明するために当事者全員が押す印のことをいいます。
 訂正印の押し方としては、まず訂正箇所に二重線を引き、横書きの場合は上又は下に、縦書きの場合は右又は左に訂正後の字句を書き入れ欄外に「○字削除、○字加入」のように訂正内容を書き入れた上で、その脇に当事者全員で押印するのが通例です。



Q.署名と記名の相違点は?

A.契約書や念書、誓約書などには、署名と押印はつきものです。署名捺印することによって 「このとおりお約束しました」という当事者本人の真意に基づいたものであることを担保することとなります。そこで、署名と記名の相違点を明確にしましょう。
署名とは、自ら手書きで自分の氏名を書くことです。また、記名とは、氏名を彫ったゴム印や、ワープロ・タイプで氏名を打ったり、または、他人に氏名を代書してもらったりする場合をいいます。それでは、なぜ法律は、署名と記名を区別しているのかというと、署名の場合は捺印不要だが、記名のときは押印を要するからです。

つまり、署名=記名捺印というのが建前なのです。法律が要求する第一原則は署名であり、第二原則が署名に代わる記名捺印という順序となります。上記で、署名=記名捺印というのが建前とのお話をしましたが、署名があれば捺印は不要であるかといえば、実はそうでもありません。裁判で、契約書が証拠として採用されるには、その文書が本人の真意により作成され、最終的な意思表示として認められるかなどを実質的に判断、審理されて、はじめて証拠として採用されます。よって捺印の習慣のない外国人相手の場合は別として、印を押すということが日本古来の慣習であることを考えた場合、細心の用意で署名に加えて捺印しておくのが安全な方法であるといえるでしょう。