法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

「改訂」と「改定」の意味の違いとは?

まずは「改訂」と「改定」、それぞれの意味を見ていきましょう。改訂とは何か、改定とは何か…使われている漢字に違いがあるということは、意味にも何かしら違いがあるはずです。改訂の「訂」と改定の「定」が意味するものを理解できれば、自ずとその違いも見えてくるのではないでしょうか。それでは先に改訂とは何かから確認します。

改訂とは「改めて正すこと」を意味する

改訂とはどんな意味かを知るには、その漢字を見る必要があります。改訂の「訂」自体に「言葉や文字の誤りを正す」という意味がありますよね。「訂正」や「校訂」などといった言葉からもわかるかと思います。そのため、改訂とは書物の内容において、「間違い部分を改めて正す」という意味を持っています。

ただ、「改訂」には法律や取り決めなどを改めて正す意味もあるのですが、法令文においては「改定」で統一するという決まりがあるので注意が必要です。以上が改訂とは何かについての説明です。では、それに対して「改定」にはどのような意味があるのでしょうか。

改定とは「改めて新しく定めること」を意味する

改定の「定」には定める、決めるという意味がありますよね。「確定」や「決定」などがわかりやすい代表的な言葉でしょう。つまり、「改定」は法律や制度などを「改めて新しく定める」という意味になるのです。

漢字を崩して考えると、「改訂」と「改定」の意味の違いは歴然です。では、次に実際に「改訂」と「改定」をどのように使い分ければいいのかを見てみましょう。

意味に注意して仕事を進めよう

仕事ではメールが欠かせないのが近年の実情です。その際、同じ読み方の言葉を入力しても、別の意味を持った言葉を送ると、時として誤解を生んだり信頼を失ったりするかもしれません。ですから、改訂と改定という非常に似た二語も、意味を正しく理解し、違いに注意して仕事を進める意識を持つべきです。

改正はまた別?類義語一覧は↓

以下で、改訂と改定の二語と間違えられがちな類義語を挙げます。しかし、改訂と改定で意味が異なるように、以下の類義語はそれぞれに意味があり、改定と改訂はもちろん、改正とも違う言葉ですので、今回はあくまで「こういう言葉がある」という程度に抑え、どんな意味の違いがあるのかは割愛します。

・規正・修定・改善・校閲・斧正・添削・修訂
・加筆・補正・改変・筆削・修繕・是正・匡正
・改削・修正・訂正・改版・変革・更訂・校訂
・更生・矯正・変造etc.

以上が、改定と改訂に意味が似ている類義語の一部一覧です。なお、改正については簡単に説明します。改正とは一般的に「不備を直す」という意味がある、とされています。何かしらの規則や規約を「より良く」改める際に、改正するという言葉が使われます。なので改正と改訂とは、かなり近い意味と考えてもいいかもしれません。

違いを知ったら「改訂」と「改定」の使い方にも注意

「改訂」と「改定」の意味の違いについてはご理解いただけたでしょうか。でも、ただ「改訂」と「改定」の意味を理解しただけでは、実際にどのような使い分けをすればいいのかイメージがつかない方もいるでしょう。ここでは用例と合わせて、「改訂」と「改定」の使い分けを見ていただこうと思います。

改定と改訂は内容によって使い分けるべき

良く使う”かいてい”として、「初版をかいていする」といった言葉があるかと思います。何らかの文書(仕様書や規定、辞書や小説など)において初めて発行するものには初版が存在しますよね。しかし、その後何らかの変更により初版の記載を変える必要が出てくるケースがよくあります。では、この場合の”かいてい”は「改訂」と「改定」のどちらでしょうか。正解は「どちらも有り得る」です。意地悪な質問になってしまいしたが、実際、「初版」だけの情報では判断できません。

例えば、仕様書や制度の規定などの文書において、内容を一部見直して”かいてい”するのであれば、それは「改定」ですよね。ただ、辞書や小説などで初版の不備を改善するために行われる”かいてい”であれば、それは明らかに「改訂」です。すでに「改定」と「改訂」の意味の違いを理解している皆さんなら容易に理解できるかと思います。

ビジネスで使う場面もあるので使い分けは必要なスキル

改訂と改定、と聞くと何やら難しい意味の言葉に感じてしまうかもしれませんよね。しかし、これら改訂と改定はビジネスシーンでも使用する機会があるのです。業種や職種、部署によっても使用頻度は異なるでしょうが、改訂と改定の使い分けが出来ると、一つのスキルと言えるかもしれませんね。

用例を見て「改訂」と「改定」の違いを理解しよう



上記の「改訂」と「改定」の使い分けの用例だけじゃ良く理解できないという方のために、さらにいろいろな用例を見て理解を深めていただこうと思います。ご自身でも考えながらチェックして見てくださいね。

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「改訂」が使われる用例

「改訂」の例文(用例)をご紹介!
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■例文(用例)①
《先日提出した企画書に誤りがあったため改訂した。》
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■例文(用例)②
《2年前に出版されたこの小説の改訂版が今年出た。》
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■例文(用例)③
《プレゼン資料に漏れがあるので、至急改訂いたします。》
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この「改訂」の用例なら、かなり詳しい状況説明がされているため、分かりやすいのではないでしょうか。つまり、以前のもの、前回のものを修正する場合に改訂が使われるわけです。

「改定」が使われる用例

続いて「改定」の例文です。
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■例文(用例)①
《今年、○○の条例の一部が改定された。》
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■例文(用例)②
《消費税増税により電車の運賃が改定された。》
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■例文(用例)③
《学習指導要領が○年ぶりに改定される。》
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こちらの「改定」もイメージつきやすい用例を挙げてみました。基本的には法律や制度に関わる場合は「改定」となるケースが多いです。

改訂とは「正す」ことで、改定には「定める」という意味の違いがあるので正しく使おう!

今回は、似た言葉である「改訂」と「改定」という二つの言葉の意味の違い、そして改訂と改定の使い分け・例文について見てきましたが、いかがでしたか?日本語には、同じ読みで意味が似ている言葉が多く存在します。しかし、漢字の違いに気づけばその意味の違いを理解するのはそれほど難しくありません。改訂と改定は読み方も全く同じですが、似たフレーズに「改正」という言葉もあります。そのあたりの違いについても気をつけたいですね。

改定と改訂のように、こういった言葉の使い分けがきちんとできる事はビジネスシーンにおいても非常に重要なスキルです。社会人になって恥ずかしい思いをしないよう、曖昧に覚えている言葉についてはこれを機に今一度見直してみてくださいね。