法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

合格体験記

本日、2次試験の合格発表があり、無事に2次試験合格しました。これから手続きをして、4月の登録を目指そうと思っています。

私の2年半の勉強期間を振り返って、合格体験記を書きます。

 

 

合格した理由

私が合格した理由を一言でいえば、次のようになります。

 

「本試験当日に、出題者が意図した解答と近い内容で書けたから。」

 

なぜこんな言い方をしたかというと、模試で上位にいた勉強会仲間が、本番当日のケアレスミスでダメだったからです。

仲間の”未”合格は、私自身も非常に残念だったと共に、模試の順位は合否には関係なく、本試験当日のたった4枚の解答用紙だけが、合否を決定するという、当たり前のことを痛感しました。

そんな考えに至った理由を、自分自身の体験に基づき書いてみます。

(※)"合格"ではなく"未"合格と書いたのは、未だ合格していないだけで、次は合格するというおもいを込めています。

 

 

<目次>

(1)自己紹介

(2)未合格だった理由(2013年)

(3)合格にむけてのロードマップ

(4)勉強法(概要)

(5)勉強法(詳細)

(6)要約練習のすすめ

(7)合格した理由

 

 

(1)自己紹介

都内の会社に勤めるアラフォー会社員です。

2012年3月に開催された診断士のセミナーに参加したことをきっかけとして診断士の受験を決心し、約2年半の勉強期間で合格できました。まずは診断士っぽく自分のSWOT分析をします。

 

SWOT分析

強み(S)

・財務分析は、ほぼ毎日仕事で使っているので得意分野。


・デジタル機器を使いこなすことが趣味。

弱み(W)
・理系なので、文章を書くことは苦手。

・アラフォーのオジサンなので、暗記力が格段に低下。

機会(O)
・遠方から通勤しているため、通勤時間が往復で約3.5時間かかり、この通勤時間を有効活用できること。

脅威(T)
・土日は、家族サービスがあり講義を受けることは不可能。

・家で勉強しても子供に邪魔されることが確実のため、自宅での勉強は想定外。

 

 

受験歴

自分の受験歴は下記の通りです。今年の高い合格率に助けられ、2回目の2次試験で合格することができました。

 

 

1次試験

2次試験

勉強方法&勉強時間

2012年

科目合格
 運営
 情報

 

1次

 独学

 約200時間

2013年

合格

 経済 44点(4点の加点含む)

 財務 68点

 経営 60点

 法務 69点

 中小 76点

 -----------

 合計 317点(平均:63.4点)

未合格
 BCBC / C

1次

 L社のDVD

 約800時間

2次

 独学

 約100時間

2014年

合格(保険受験)

 経済 72点

 財務 64点(問題訂正の加点含む)

 経営 70点

 運営 56点

 法務 57点

 情報 48点

 中小 73点

 -----------

 合計 440点(平均:62.9点)

合格

1次

 独学

 約100時間

2次

 AASの要約練習+独学

 約400時間

 

 

 

(2)未合格だった理由(2013年)

 

初めて受験した2次試験の未合格通知を受けたあと、自分がなぜ未合格だったかを分析してみました。その時にでた結論は次の3つでした。

 

①勉強方法の確立が不十分

初めての2次試験ということもあり、勉強方法のPDCAを回すことが最後までできなかった。

②設問要求の読み間違い

基本中の基本ですが、いくつかの設問で設問要求の読み間違いがありました。例えば、2013年の事例3の第3問で、新規”事業”について聞かれているのに、新”商品”について解答していました。致命的な間違いです。これでは合格できません。

③国語力の欠如

本試験終了後、他人の再現答案を見た最初の印象は、「読み易さが全然違う」でした。つまり私の解答は、因果関係が不明瞭で読みにくい文章でした。

 

 

(3)合格にむけてのロードマップとその結果

 

この未合格だった理由をうけて次は絶対にリベンジすべく、合格へのロードマップを2014年1月に立てました。その内容と結果は次の通りです。

 

①国語力の強化(1~10月)

国語力を強化するために、写経や要約を習慣化する。

ASS名古屋の要約練習を2月~9月まで8ヶ月間受講した。最初の頃は時間もかかり内容もひどかったが、夏以降から短い時間で初見の日経春秋を40字に纏めることができるようになった。これは自分自身にとっても国語力強化に有効だったと思っています。鷺山先生ありがとうございました。m(_ _)m

②財務強化(1~10月)

診断士の合格後、将来的に税理士とのダブルライセンスを考えているため、税理士の試験科目である簿記と財務の勉強を始める。

×

テキスト購入まではしたが、結局税理士の勉強までは出来なかった。

③2次過去問分析(1~4月)

この時期はじっくり過去問分析を繰り返す。

自主勉強会を主催し、毎週1事例ずつ過去問を繰り返した。ここで出会った受験生仲間は、直前期に励まし合った大切な仲間になりました。

中小企業診断士 WEB勉強会(http://4d4web.jimdo.com/)

④1次+2次対策(5~8月)

免除ではあるが、基礎知識の充実のために1次試験も受験する。

短い準備期間であったが、7科目受験し、どうにか合格できた。

⑤2次対策(8~10月)

自分の弱点である国語力を改善させ、安定して合格答案が書けるようになる。

合格できました。\(^o^)/

 

 

 

(4)勉強法(概要)

 勉強方法を確立できなかったことが、昨年の未合格の原因だと認識していました。そのため、今年の合格にむけてどうやって勉強のPDCAを回すかについて、いろいろとトライしました。結果的に下記のようなPDCAに行き着きました。

 

Plan

受験校の通信講座にも申し込んだが、添削まで2~3週間かかることもあり、受験校ではなく過去問を中心に独学する勉強計画を立てた。

Do

Facebook上で、オンラインの勉強会を主催し、毎週1事例ずつ受験生同士で議論した。このメリットは、①タイムリーにレスポンスがもらえること、②他人の解答にコメントすることで、採点者の気持ちが理解でき、読みやすい解答を書けるようになったことでした。

Check

Doの勉強会での相互添削と、独学受験生のバイブルであるふ◯◯いを参考にして、自分に足りない部分をチェックし、出題者が意図した解答と自分の解答がどれだけ離れているかをチェックした。

Action

Checkで足りなかった部分の知識とノウハウを補充するため、6月頃からファイナルペーパー作りをした。最終的にはこのファイナルペーパーを各事例ずつ作成し、試験日当日の最終確認に使った。

 

 

(5)勉強法(詳細)

 

自分の勉強方法の中で、重要視した点です。かなり細かいので読み飛ばして頂いて構いません。


過去問高速回転

過去問にまさる試験対策はない」という言葉を信じ、受験校の答練はやらずに過去問だけを繰り返しました。繰り返すことによって答えを覚えてしまうことになりますが、それでも気にせず過去問を高速回転しました。ただし、2回目以降は解答時間を60分に設定し、60分以内で理想の解答(=出題者の意図した解答)にどれだけ近づけるかをチェックしました。この方法のいいところは、同時にタイムマネージメントが身につく事です。60分で書きあげる解答プロセスを繰り返したので、本試験の80分は若干の余裕がありました。

 

電車の中が勉強部屋

1次試験の時もそうでしたが、私は通勤時間が長く通勤時間の有効活用が必要でした。暗記系が多い1次であれば、満員電車の中で愛用のiPodを活用して車内勉強ができましたが、2次はうまくできませんでした。いろいろトライした結果「始発駅で電車に乗り、椅子に座った状態でバインダーと蛍光ペンを駆使して移動時間中に事例を1つ解く。」という方法にたどり着きました。最初は、車内で蛍光ペンを何色もつかい、紙に書き込んでいる自分の姿が恥ずかしかったんですが、途中から他人の目を気にせずガシガシ解いていました(笑)。また、電車が出発してから目的駅に到着するまで60分だったので、1事例を解くのにちょうどいい時間であったことも幸運でした。

 

蛍光ペンの使い方

与件文の区分けに蛍光ペンを使う人は多くいます。独学受験生のバイブルであるふぞろいにも「蛍光ペンで、強み・弱み・機会・驚異を色分けしたほうがいい。」と書いてあります。私も最初はこの方法を採用していましたが、なかなかしっくりいきませんでした。そんな時に別の書籍には、蛍光ペンSWOT分析をするのではなく、第1問に関連する部分は赤、第2問は青と、設問の番号ごとに与件分を色分けすることを推奨していました。結果的には、こっちの方が私には合っていました。このメリットは「与見文にはムダなところが無い」と言われている中、与見文で使っていない場所や重複して与見文を引用している部分が明確になり、解答モレが少なくなり、解答作成までの時間が短縮できることです。

 

練習は本番、本番は練習

学生の時に私は体育会系でした。その時に教わったのは「練習の時は本番とおもって真剣に練習し、本番の時は練習だとおもってのぞむ」でした。1年に1回しかない診断士の試験では、失敗することはできません。そのため過去問の高速回転時には、本番の時に使えなさそうな難しい切り口や知識は捨てることにして、本番で必ず使える切り口や知識はだけを繰り返し体に覚えこませました。そして、本試験の時には、練習通りの解答プロセスに沿って「あせらず、あわてず、あきらめず」とつぶやきながら解答を書きました。

 

解答フレームの活用で、大事故を起こさない解答を

国語力のない私が大事故を起こさないためには、解答フレームが重要と信じていました。たとえば、「◯◯の理由は?」と聞かれたら、「理由は、◯◯(事実)なので、◯◯(方法)することで、◯◯(効果)があるから。」とか、「◯◯へのアドバイスは?」と聞かれたら、「◯◯を行う。理由は◯◯を実施することにより、◯◯の強みを活かして◯◯のニーズに対応でき、◯◯の効果があるから。」などと、自分の定型パターンをいくつか準備しました。これにより、設問要求から大きく外れた解答(大事故解答)を書くことが無くなりました。

 

出題者の意図から絶対に離れない

過去問を繰り返すことにより、出題者の意図する事例1~事例3のテーマを覚えこんだ。自分が理解した出題者の意図は次の通りです。

事例1:ニーズの変化で外部環境が変化しているが、今の組織構造が適合していないので、組織・人事の施策でそのGAPを埋める。

事例2:大手に負けないために、①地域と顧客との関係性を強化と②顧客の生涯価値向上で、固定客とブランド力を得る。

事例3:安くて(C)品質の高い(Q)製品を納期(D)通りに、ムリ・ムダ・ムラを抑え、多品種・小ロットで混乱なく効率よく作って売る。

解答の方向性で迷った時は、この方向性に沿う事で、出題者の意図から離れない解答を作成できました。

 

私の意見は聞いていない

社会経験が長いと先入観が強くなり「そんなことはある訳ないよ」と思いながら、自分の経験に基づいて解答を書いていました。 特に自分の仕事に関係する事例の場合は、その傾向が強くでました。これは社会経験が長いことの弊害です。その弊害に気付いた後は、「これは試験であり、出題者の意図する解答を書くことが重要だ。自分の意見を聞いている訳ではない。」と割りきっていました。

 

 

(6)要約練習のすすめ 

AAS名古屋でお世話になったのは「要約練習」でした。数々の受験校のカリキュラムを試してみたが、いまいち自分に合わなかった私が、要約練習だけはなぜ最後まで続けられ、どのように合格答案を書けるのに役立ったのかを説明します。

 

なぜ最後まで続けられたのか?

一番の理由は、レスポンスがタイムリーであることです。こちらが提出してから約3〜4日で△、OK、Goodの採点をして頂き返却してくれます。内容は違うものの他の受験校の答練では、2〜3週間かかります。帰ってきたころには、すでにその答練の解答プロセスは忘れてしまっており、これでは、PDCAの一番大切なチェック機能を果たすことができません。

 

合格答案を書くのにどう役立ったのか?

2次試験には、読む力考える力書く力の3つの力が必要だと言われています。この要約練習は、この3つの全てを同時に鍛えることができます。しかも毎日できます。抽象的な言い方になってしまいますが、この要約練習は、スポーツでいうところの「基礎トレーニング」にあたると思っています。多くの受験校では◯◯メソッドといって、いろいろな受験上のテクニックを教えてくれますが、そのテクニックも、基礎があってこその応用であると思います。基礎がなくテクニックばかり覚えても、それは借り物のテクニックであり、試験当日のあの緊張感の中では発揮することができません。基礎力を高め、当日にどんな変化球がきても、それなり対応して、合格答案が書けたのは、要約練習のお陰だと思っています。

 

 

(7)合格した理由

いろいろと書きましたが、上記の勉強方法を繰り返した結果「本試験当日に、出題者が意図した解答と近い内容で書けた。」ことが合格した理由だと思います。

 

最後に、これから合格を目指す受験生の仲間へ、独学派の私がいつも大切にしていた言葉を贈ります。この言葉は、坂の上の雲(司馬遼太郎 著)の主人公の一人である秋山真之が、新設した海軍大学校の初代教官として、生徒に対して話した言葉です。

 

 

「ここに、戦術の講究を開催するに先立ち、諸君に明らかにしておく。あしから戦術を学ぼうと、思わんでください。学んだ戦術はしょせん借り物でありますから、いざという時に応用が効かん。したがって、みなが個々に、自分の戦術を打ち立てることが肝心であります。然るにまず、あらゆる戦術書を読み、万巻の戦史を読み解いてみる。どう戦えばよいか、原理原則は自ずと引き出されてこよう」

 

 

(※)ご存じの無い方のために説明します。この人は日露戦争の時に、ロシアの海軍(バルチック艦隊)と戦う日本海軍(連合艦隊)の作戦参謀であり、現代風にいえば日露戦争を勝利に導いたコンサルタントです。

 

合格するために、個々に自分の戦術を打ち立てて頑張ってください。

以上です。