法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

経営法務 H23 第07問

経営法務|特許権、意匠権、商標権【平成23 年第7 問】

 

問題:特許権意匠権商標権【平成23 年第7 問】-------------------
 特許・意匠登録・商標登録制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 意匠登録出願人は、特許出願人と異なり、意匠権設定の登録の日から3年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にするよう請求することができる。

イ 特許権の存続期間の始期は、意匠権及び商標権と同様に設定登録の日から起算される点で共通し、設定登録の日から20 年をもって終了する。

ウ 特許出願は、意匠登録出願及び商標登録出願と異なり、出願審査の請求を待って審査官により特許を受けることができる発明であるかについて審査が行われる。

エ 特許出願は、意匠登録出願と異なり、特許出願の日から1年6月を経過したときは特許掲載公報の発行したものを除き、願書に記載した事項及び願書に添付した明細書等に記載した事項並びに図面の内容等が出願公開される。

解答と解説-----------------------------------------
正解:イ


 経営法務から、特許権意匠権商標権に関して問われています。不適切なものを選択する問題です。特許権意匠権商標権の基本を覚えていた人は、正解できる問題です。

 順番に選択肢を見ていきましょう。

 選択肢アは、意匠の秘密に関する記述です。

 意匠権には「秘密意匠制度」という制度があります。秘密意匠制度は、登録日から最大3 年間、意匠を公開せずに秘密にしておくことのできる制度です。秘密意匠にする場合は、出願時に指定するか、登録料を納付する際に指定する必要があります。この秘密意匠制度によって、意匠の公開前に、意匠権の侵害を防ぐことができます。よって、アの記述は適切です。

 選択肢イは、権利の開始時期に関する記述です。
 特許権の存続期間は、登録によって権利が開始し、終了は「出願日」から20 年となっています。一方、意匠権の存続期間は登録日から20 年、商標権の存続期間は登録日から10 年と「登録日」が始期となっています。このように、特許権と、意匠権および商標権とでは、権利の始期が異なります。よって、イの記述は不適切で、これが正解となります。

 参考として、残りの選択肢も見ておきましょう。

 選択肢ウは、特許出願の審査に関する記述です。
 特許権は、取得するためには特許の実体審査を受ける必要があります。実体審査は、審査請求を提出することで開始されます。審査請求は、出願から3 年以内に行う必要があり、3 年間審査請求が無かった場合は、出願は取り下げになります。一方、意匠権商標権の場合は、審査請求は必要なく、方式審査を通過すると自動的に実体審査が行われます。よって、ウの記述は適切です。

 選択肢エは、特許の出願公開に関する記述です。
 特許権は、方式審査が終了し、出願日から1 年6 ヶ月が経つと、出願公開となります。出願公開とは、出願した発明の内容が、特許庁の発行する「特許公報」に掲載されることです。一方、意匠権には出願公開制度はありません。よって、エの記述は適切です。

 以上より、イが正解となります。

 特許権意匠権商標権は頻出分野です。しっかり復習しておきましょう。

◆解法のポイント
 不適切なものを選ぶ問題では、先に適切なものを選んで、消去法で解答すると正解率が高くなります。1 つに絞りきれない場合は、どちらかを一旦マークしておき、後で時間があった場合にもう一度検討しましょう。(マークしておかないと時間が無い場合に慌ててしまいます。)
 1 つに絞りきれない問題は、問題の横にチェック記号を入れておくと、後で見直すのが容易になります。