法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

未公開企業の企業価値

未公開企業の企業価値

venture valuation

株式公開している企業は株価の時価やβ値など企業価値を理論的に算出するために必要な情報が入手できる。しかし、未公開企業の場合はデータがないため、仮説を元に企業価値を算出する。

企業価値の計算には、通常、フリー・キャッシュフローの現在価値(PV)を求める。そのためには、下式のように、フリー・キャッシュフロー(FCF)とWACCの算出が必要となる。

PV = FCF ÷ WACC

未公開企業は、WACCの算出に必要な資本構成の元となる株主資本の時価データやβ値が不明な場合があるので、これらを試算する必要がある。試算には、業界の平均値などをベンチマークとして使うことが多い。FCFについては、売上とコストの構造の将来の変化の可能性、減価償却と投資予測、運転資本の変化などの前提条件も、業界全体の環境などから仮説で決めた上で試算することになる。

また、FCFの現在価値から試算する以外に、PER(株価収益率)から簡易的に試算する方法もある。企業価値は、下式のように、株主資本市場価値と長期負債(固定負債)の和となる。

企業価値 = 株主資本市場価値 + 長期負債

ここで、株主資本市場価値をPERから試算する。PERは求められないが、その業界平均のPERと該当企業の純利益から、以下の式で試算できる。

株主資本市場価値 = 業界の平均PER × 当期純利益

なお、PERからの試算は簡易的な方法なので、FCFの現在価値からの試算など複数の方法で検証することが望ましい。