法務部リスク管理課

法務部リスク管理課に所属しながら、中小企業診断士としての活動を模索中。

割引率とは?

以前のブログ(http://d.hatena.ne.jp/otoken/20100913/1284350735)でお伝えしたとおり、ファイナンス(基礎編)の講義を受けてきました。


講義のなかで、いろいろと教わりましたが、一つだけよく理解できない点がありました。それは、ファイナンスでは「割引率は予め設定した条件が永久に続くものとする」ことが前提とありました。


この点について、他の方の質問が多かったので、おそらく私以外の多くの人も”えっ、どういう事??”となったとおもいます。


講義終了後、それを自分自身で理解するために、例題を使って下記のように考えてみました。ちょっと長文ですが、ご了承ください。



<例題>
コンドミニアムの1室が$200,000で売り出されています。この部屋を賃貸すれば30年間、年$24,000で貸し出せることが確実です。維持費・管理費は無視して、また賃貸料は毎年年度末に一括して支払われると仮定してください。利子率(割引率)を10%とした場合、このコンドミニアムを購入すべきですか。


<解答>
まず、割引率10%の場合、30年後の“(1+割引率)”は、いくつになるか考えてみた。すると、次のようになった

0年目       = 1.0
1年目 (1+0.1)^1 = 1.1
2年目 (1+0.1)^2 = 1.2
3年目 (1+0.1)^3 = 1.3
4年目 (1+0.1)^4 = 1.5
5年目 (1+0.1)^5 = 1.6
6年目 (1+0.1)^6 = 1.8
7年目 (1+0.1)^7 = 1.9
8年目 (1+0.1)^8 = 2.1
 :
 :
 :
28年目 (1+0.1)^28 = 14.4
29年目 (1+0.1)^28 = 15.9
30年目 (1+0.1)^28 = 17.4


これをグラフにするとこうなった↓
f:id:otoken:20101008124731g:image


《グラフ:割引率10%の時の30年後の推移》



つぎに、得られるキャッシュは毎年24,000ドルなので、単純に↓のようになる。
f:id:otoken:20101008124730g:image
《グラフ FCF》


PV)(事業価値)を求める計算式は FCF ÷ (1+割引率)のn乗なので、↓のようになった。
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《グラフ 事業価値(30年後)》


つまり、このグラフを見ると7〜8年のFCFは、現在と比較して約半分の事業価値となることがわかる。


ちょっと調子にのって、これが100年続く場合をシミュレーションしてみた。

f:id:otoken:20101008124728g:image
《グラフ 事業価値(100年後)》



これによると40年後のFCFは、ほぼ無価値であることがわかる。



<結論>
これからのことにより、

「割引率は予め設定した条件が永久に続くものとする」

という意味は、割引率10%とした場合、7〜8年後には、現在価値の約半分になってしまい。40年後には、ほぼ無価値であるということがいえると分かった。

やっと、これですっきりしました。